<声明>
2005年2月25日
最高裁は2月25日、台湾人元『慰安婦』被害者の「謝罪と賠償請求」訴訟を棄却した。
この訴訟は、日本の植民地統治と侵略戦争によって人権を踏みにじられたまま、生涯の大部分を苦しみのうちにおくってきた原告たちが、50年以上に及ぶ沈黙を破って、ようやく日本の法廷に訴えたものであるが、日本の司法はこれを受け入れなかった。1999年7月以来、5年半にわたり、この裁判を支援してきた私たちは、いま原告たちと共にこの決定に憤りと悲しみを覚えている。
日本の裁判所においても近年、重大な人権侵害については、国家無答責、時効・除斥など従来の法解釈に追随することなく、過去の罪責を認める勇気ある判決が出るようになった。国際的には、国連人権小員会におけるゲイ・マクドゥーガル特別報告者による「武力紛争下の組織的強かん、性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する特別報告」をはじめ、多くの国際機関が、戦時下における女性への暴力、性奴隷制が重大な人権侵害であり、戦争犯罪であることを指摘し、日本政府が法的な賠償をすべきことを勧告してきた。
私たちは、日本の司法府が、日本政府に追随することなく、このような世界的な潮流を受け止めて人権思想の発展に寄与する画期的な判決を下すことを期待してきた。しかしながら、最高裁は、正義を実現し、国際的に評価される判決を下す機会を失った。過去の過ちから目をそらし、国家の責任をないがしろにした今回の決定は世界の隣人の前に恥ずべきものであろう。
私たちは裁判所における敗北が闘いの敗北であるとは考えない。被害者である阿媽たちとともに闘ったこの5年半のひとつひとつの貴重な経験を生かしつつ、これからも阿媽たちの名誉と人権が真に回復されることを求めて努力することを改めて誓う。
台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会
世田谷区北烏山1−51−12 東京告白教会気付